気泡ボコボコのバゲットをなぜ目指す??

パンの作り方

こんにちは!パンのブログです!

最近インスタグラムやTwitterでバゲットの内相(クラム)が気泡ボコボコにならなくて困っている人をよく見かけます。

なぜ気泡ボコボコにならないのか?

そもそもなぜ気泡ボコボコを目指しているのか?

本当に美味しいバゲットってどんなバゲットなのか?

この記事では現役パン職人で、バゲットを焼きまくった僕がそんな疑問に答えます!

 



詰まった内相はダメなのか?

焼き上がったバゲットを切って内相チェック。

詰まってる。。。

だめだまた失敗だ。。。

本当に失敗なのでしょうか??

実は詰まった内相を目指したフランスパンも存在します。

スーパーでよく袋売りされているフランスパンを見てみて下さい。

https://www.yaoko-net.com/story/2019_01/071909010018985.html

詰まった内相です。

作るのが下手くそだから??

いえいえ、ここを目指しているのです!なぜって??

日持ちするからです。

詰まっている方がクラムのしっとりが長持ちします。

また具材が乗せやすい。

こういうフランスパンは何かと一緒に食べることを前提に作られています。

詰まったフランスパンが絶体的にダメというわけではないのです。

内相チェックの重要性はこちら↓

パン作りの悩み解決!パンの断面をみよう!製品チェックは超重要!
現役パン職人の僕がパン作りの様々な悩みを解決する方法を伝授していきます!

なぜ気泡ボコボコを目指す?

有名ベーカリーのこだわりのバゲットの多くは気泡ボコボコ!

なぜでしょうか?

詰まったフランスパンと気泡ボコボコのフランスパンの違いをまとめてみました。

気泡ボコボコ詰まった内相
・クラストが香ばしい
・小麦の甘味が強い
・塩味を強く感じる
・小麦の甘味が弱い
香り・風味が良い
・発酵による複雑な香りがする
・イースト臭が出やすい
・こもった香りがする
食感・口溶けが良い
・クラストがパリッとする
・口溶けが悪い傾向
・クラストの湿気りが早い
(同じ配合で作った場合)

気泡ボコボコだと味、香り、食感が詰まったときに比べ良いのがわかります。

つまりバゲット単体で食べても、食事と合わせても美味しいのです。

ただし作るのにはかなりの技術が必要。。。

大量生産でかなり安価に食べやすいフランスパンを販売してくれている大手のパン屋さんにも感謝ですね!

家で少量本気で作るなら美味しいバゲット作りたいですよね。

気泡ボコボコを目指す理由がわかりました!

ではなぜボコボコだと美味しくなるのか?

理屈が分からないと作れません。

気泡ボコボコはなぜ美味しい?

○味

イメージして下さい。

イチゴを食べます。美味しい。

次に苺の濃縮果汁を飲みます。濃いいい!!!

詰まったものの方が味が濃く感じます。

なので、内相が詰まっているバゲットは塩味を濃く感じやすいです。

気泡ボコボコは発酵が長時間行われた証拠。

つまり発酵や酵素の力で甘味が増します。

そもそも発酵とは何なのかという方はチェック↓

【超重要】パン作りの「発酵」とは何なのか分かりやすく解説!
パン作りの発酵ってなに?「発酵」の面白い世界を現役パン職人が紹介します!

○香り

気泡がボコボコということは焼いた時の火通りが良いです。

詰まっていると、どうしても小麦の芯まで熱が伝わりづらい。

小麦の芯までしっかり熱が入り焼き込まれたパンは香りも甘味も格段に違います。

また長時間の発酵により複雑な香りを生み出します。

○食感

気泡ボコボコだと火通りが良いので、食べた時ねちゃつかず口溶けが良くなります。

逆に詰まっていて火通りが悪いとクラムに残った火抜けていない水分がクラストに移り食感が損なわれます。

美味しいバゲットってどんなバゲット??

『バゲットを作っては食べ作っては食べを繰り返すうちに正解がわからなくなる。』

バゲットを極めし者達は皆こう言います。

そう人間の味覚は日々進化しているのです。

小さい時は嫌いだった食べ物も今では大好物なんてこと良くありますよね。

僕は小さい頃ナスが大嫌いでした。あんな毒みたいな色の食い物食えるか!と思っていました。

でも今では大好き(笑)

人間は日々好みが変わっていくのですね。

つまり正解などないのです。

それでも正解を作るのなら

『自分の思う美味しいを明確にイメージしてそれを作れたとき』

だと思います。

ただこれもその時の正解に過ぎません。

日々進化する味覚に対しイメージし作りたいものを作れる。

それが一流のパン職人の技術で皆が目指すべき境地なのかなと思います。

・今の自分の美味しいと思うバゲットを一応紹介しておきます。

粉はリスドオル100%ストレート法

オートリーズは30分以上とる。

捏ね上げ温度を低く持っていきフロアを伸ばす。最低3時間

淡白な味わいで甘味があり、食事と合わせて美味しい。

ストレート法特有の粉の香りが良い。

クラムはクリーム色で酸化していない。

クラストは厚すぎず薄すぎず、パリッとクリスピーな食感。例えるなら薄い煎餅のような食感。

シンプルに美味しいです。

 



どうしたら気法ボコボコになる?

みなさんが一番気になるであろうボコボコの秘訣。

ボコボコの要因はいくつかあります。

・生地のグルテンの繋がり方

・吸水量

・発酵の仕方

・生地の扱い方

などなど。たくさんの要因が絡み合っています。

詰まった内相のバゲットの写真を見ただけでここが原因とは決めづらいのです。

なのでボコボコになりやすくするにはどうしたら良いか記しておきます。

○吸水量を適正に

窯に入れた時の水分の水蒸気爆発により気泡ができます。

水分が多いと水蒸気爆発しやすい。

ただし多すぎると、生地が扱えない、生地に力がない、など逆に詰まってしまう原因にもなる。

大事なのは粉が芯まで水を吸い切れる吸水量と時間を作ることです。

○捏ね上げ温度を低くする

捏ね上げ温度が高いと大きすぎる気泡ができやすい。

pizza dough proofing stage to rise

大きすぎる気泡は成形をやりにくくし、生地に張りをもたす邪魔になってしまう。

生地に残しておくべき本当に必要な気泡は細かい気泡。

いらないガスはしっかり抜くことも大事。

○冷蔵長時間法は気泡ができやすい(おすすめ)

冷蔵長時間法(オーバーナイト法)は粉が芯まで水分を吸う時間がしっかりある。

捏ね上げ温度も冷蔵するので比較的気にしなくて良い。

冷蔵しているため生地が冷えていて扱いやすい。

長時間低い温度で発酵させるため細かい気泡がたくさんできる。

他にも生地を触り過ぎて痛めないとか、言い出したらキリがないのでこの辺で。

オーバーナイト法は安定してボコボコになりやすいのでおすすめです!

個人的にはストレート法の香り、軽さがたまらなく好みですが。笑

過去にいろいろな製パン法をまとめた記事もあるのでぜひ!

パン作りのいろいろな製パン法まとめ【中種、ポーリッシュ種、湯種など】
パン作りの様々な製法をまとめました。メリットデメリットを詳しく解説!

まとめ

なぜ気泡ボコボコを目指しているのかイメージしながら作ることで美味しいバゲットに近づけるのではないでしょうか。

みなさんの目指す美味しいを明確にしてぜひ何度も作ってみて下さい。

迷走バゲット作りこそパン職人の醍醐味だと思います(笑)

ではまた!

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